狼と香辛料

狼と香辛料
狼と香辛料

 帯にある通り、剣も魔法も活躍しないファンタジー小説です。でも、どこか郷愁と憧れを抱かせる、そんなお話です。
 第12回電撃小説大賞”銀賞”受賞のこの作品、以前買った同じ賞の”大賞”だった「お留守バンシー」よりはこちらの方が僕好みでした。
 何より主人公の行商人ロレンスとヒロインの狼娘ホロとの掛け合いが面白かったです。また、素朴でほのぼのとしていながら、人と狼神の埋めようも無い隔絶や商人たちの駆け引きなどがピリリと、それこそ香辛料の様に雰囲気を引き締めてくれて良かったです。
 あと、タイトルの片割れである「香辛料」。最後まで読んでようやくその理由が分かった時は、なるほどと思いました。願わくば、またこの二人の旅路の物語を読みたいものです。
 そんな訳で、お勧めの一冊です。